わしの母親
【わしの母親】
母親は東京生まれ、東京育ちで、父親と知り合い、父親の転勤で広島に行った。
その時にわしが産まれた。
知らん土地で、友達もおらんし、知り合いもおらんし、心細かったり、どうしてええかわからんかったり、不安じゃったりしたんじゃないかと勝手に思う。
今みたいなネットもなければ、コミニティもない時代で、情報と言えば、本か電話か。
父親は、造船所に行って船を修理する仕事をしとったんで、ほとんど家にはおらんかった。
母親一人でわしを育てんといけんかった。
更に弟は死産じゃったんじゃけど、どうしてかは知らんが、子宮を残すことはできんかかったらしい。
もう子供は産めん体になってしもうたけー、わしは一人っ子になったらしい。
そんな状況でわしを育てたことを考えりゃー、辛かったじゃろーし、しんどかったじゃろーし、不安じゃったじゃろーし、どうしたらええかわからんかったじゃろーし、頼りたいときに父親は仕事で家におらんし、一人で大変じゃったろうと勝手に思う。
そんな状況じゃったら、子供にあたってしまうこともあったじゃろーし、ヒステリックになってその辺のものをぶちまけたり、わしに物を投げつけたりすることもあったじゃろーと思う。
そんな母親を今更責めてもしょうがないし、今更どうにかしてほしいとも思わん。
母親には、今まで辛かったし、しんどかったじゃろーけー残りの人生を幸せに過ごしてもらえりゃーええと思うが、まぁ母親方のおばあちゃんの介護があるけー、まだ大変じゃと思うが、それりゃーわしが勝手に大変じゃと思うとるだけじゃけー、母親は楽しんどるかも。